Monozu Yashio
者津 八潮(No.633)
Age 32
1.78m
BD 2/8
一人称 俺
二人称 呼び捨て
男女二人組ロックユニット
「シャルロワ」のバンドマスター
“開かずの楽器店”と噂される
『亀山楽器店』二代目店主
序章 小さなライブハウスで一人途方に暮れていたうららに近づき、ロックユニット結成を持ちかけた張本人。近くの商店街「花町商店街」で楽器店を営んでおり、バンド内ではギターを担当し、作詞作曲・プロデュースまで手がける。表情から感情が読みづらく、結成当初は素性不明だったが、共に活動していくうちに過去の葛藤や悲しい記憶、バンド結成の理由が明らかになっていく。 性格 頑固な性格で、音楽に関しても納得がいかなければ何度も録り直しを行うほどである。しかし、バンドマスターとして他者と協力しながら一つの物事を成し遂げることが増えてからは、ある程度で妥協することも覚えた。 目上の者であっても敬語を使わず、くだけた言葉遣いで話す。それは「何者にも期待しない」という考えの表れであり、期待をかけないことで自分自身を守っているようである。 協調性が無いというよりも、他者から自分を隔離しているような様子である。 シャルロワの活動において 自らが作った楽曲について語ることはなく、どんな風に受け取ってもらっても構わないと答えている。Vo.うららにも「こう歌ってほしい」という指示を出すことはなく、感じたままに歌ってほしいと告げている。それが彼女の悩みのタネになることがしばしばある。 生態 寒い所が苦手。冬季にうららの家に赴いた時、足元を温かく包みこむこたつに衝撃を覚え、自らの部屋にも導入するかどうかを密かに考えている。 冷たいものが苦手。お腹を壊しやすいため、飲み物は全てこおり抜きか常温で飲む。 実は年下の圧しやか弱そうなものに弱く、うららが手懐けてから楽器店に来るようになってしまったノラ猫「まいどちゃん」を拒むことができず、部屋にあげては癒しを貰っている。うららが買い溜めているネコ用のおやつを与えすぎて怒られることも。また、バンド結成時には自らは歌わないと決めており、完全に奏者側に回ろうとしていたはずが、初レコーディング時にうららから「一緒に歌ってください」と強く頼まれたことをきっかけにコーラスとして参加するようになったという裏話がある。 人からモンスターへ姿を変えることができる。小さい体でいる利点を理解しているため、モンスターの姿でいることが多い。 がんこな性格によく見合う石頭。ずつきが得意技のようだが、加齢とともに首を痛めるようになった。 亀山楽器店 先代「亀じい」から受け継いだ趣のある楽器店。花町商店街の一角に存在する。他の店舗と比べ入口が奥に引っ込んでおり、店前は軽自動車なら2台ほど止めることができる。いつも半シャッターのため、近隣に住む学生たちに「開かずの楽器店」と噂されていた。 うららがアルバイトとして働いているコンビニとは逆方向の位置にあるため、2人が商店街内で顔を合わせることはなかった。しかし、八潮はうららをコンビニアルバイトだと認識していたため、頻繁にバイト先に現れる八潮を不審に思ったうららにしばらくストーカー扱いされていた。 恋人“ナギ”の存在 八潮には夢半ばで亡くした恋人がいた。 共に夢を追い、自分を信じ家族から離れる決意をした彼女のため、八潮は日々奔走していた。しかし、ある年の夏の暮れ、些細な言い合いをきっかけにナギは家を飛び出してしまった。引き留めようと手を伸ばした八潮だったが、持病の胸が痛み出し、とうとう追いかけることはできなかった。 数日後、実家に戻ったかと思っていた彼女の葬式が執り行われていた。死を知らせるような線香の香りに思考が硬直し、敷地内に入ると黒い額縁に収められたナギと再会する。この葬式は紛れもなく彼女のものであった。 ナギは八潮の家を飛び出した後、町内にある小さな湖に足を滑らせ落下し、そのまま帰らぬ人となっていた。 敷地内に侵入した見慣れない青年の周囲に異様な空気が漂う。彼は俯きながら、ただ彼女の瞳を見ていた。見かねた親族の一人が声をかけようとした瞬間、青年は何を思ったか、「彼女」を抱えて走り出した。 遺影を抱えて走り去る青年に気づいた親族らは彼を追うも、途中で見失ってしまう。数日後、都内の病院から連絡があり、彼女の遺影はあるべき場所へ戻された。外的な衝撃により表面のガラスはひび割れていたが、それ以外の損傷はなかったという。 青年は彼女の遺影を抱え、都内にあるビルの屋上から飛び降りを図っていた。その屋上には叩きつけられたのか、壊れたギターが横たわっていたという。 「もう戻ったほうがいい」 たった一人、自分を信じてくれた相手の思いを裏切ってしまったこの一言が、今でも八潮を苦しめている。彼女が落ちた湖の敷地内には、事故から5年経った今でも足を踏み入れることができない。 空っぽの6畳間に戻った彼は、彼女が毎日つけていた日記に触れる。その中には、家族のことや自らの夢のこと、恋人のことや許嫁のこと、それぞれに葛藤しながらも力強く生きた彼女の一生が綴られていた。彼女が毎日向かっていたキャンバスにかけられた布を取ると、二人で行った思い出の場所や風景、なかなか見せてくれなかったスケッチブックを捲ると、被写体は全て自分であった。 両親の同意も得ないままに家を飛び出し「駆け落ち」という濡れ衣を着たまま、もう二度と報われることのない彼女の夢、努力、本当の強さ、美しく生き抜いた生涯を、八潮は音楽へと昇華する。 小話 過去に様々なバンドに所属し、どれも長続きすること無く転々としていた。 彼が普段使用している鉛筆は、亡くなった恋人凪がデッサンを描くときに使っていた私物である。 「シャルロワ」を結成するまでの数年間は楽器を持つ事が出来ず、彼女に宛てた手紙のような日記を毎日綴っていた。 凪が残した日記を作詞に使うことがある。 右の手指にペンだこがある。 演奏中、気分が昂ると独りでに笑みを浮かべていることがある。 持病 時折胸部に強い痛みを感じることがある。彼自身はそれを病と認識していなかったが、35歳の時に突然倒れて以来、定期的に病院に通うようになった。 バンド解散とその後 長らく閉じていた楽器店のシャッターを開け、店舗営業を再開する。主にライター系の仕事を手掛け、若手の音楽アーティストやアイドル系バンドへの楽曲提供、音楽雑誌のコラムページを執筆している。 終焉 享年54歳、持病の発作により息を引き取る最期を迎える。縁側の窓から舞い降りる桜吹雪に包まれた彼の亡骸は、「まるで、彼女が迎えに来たようだった」と語る者がいる。 成り立ちと蛇足 彼は、No.633の「某モンスター史上最も進化の遅い種族」という要素にスポットを当て、「進化できなくてとうとうグレちゃう」個体がいたら面白いだろうと思い、軽い気持ちで描いてみたことで生まれた、記念すべき一人目の現代PKGでした。また、生み出す際に目が隠れている印象から「なんかバンドマンぽいな」「きっと楽器店とかやっててギターとか売ってるぞ」というゆるい設定を添えました。八潮の「楽器店店主」という属性はその時の名残だったりします。 No.633×遅咲きのギタリスト像 キャラクター化する際に、なぜ進化しないのか、できないのか、その原因を突き詰めて考えていた時、「破壊の化身」として悪い噂が絶えず囁かれている進化後の要素を逆手に取ることで、ある出来事をきっかけに進化不全を起こした個体の報われない思いがやがて「破壊衝動」となり、それを体の内に秘めている、というキャラクターが生まれました。また、その時自分が聴いていたある楽曲と、彼の初期の「バンドマン」という設定が重なり、「破壊衝動」の昇華先は「音楽」となり、やがて「者津八潮」というキャラクターが誕生しました。 名前の由来 名字は種族名そのままで、「ネットシーンで活躍する某音楽アーティスト」っぽさをかけて「者津」としました。No.635のモデルである八岐大蛇(やまたのおろち)を眠らせた「八塩折之酒(やしおりのさけ)」から「八潮」という名前にしました。龍属性の印象と、彼自身の荒れ狂う海のような心情にぴったり重なる命名ができたかと思います。 こじつけなど 彼がバンドメンバーとしてどこにも所属できなかった背景には「かみつき癖」があり、「飼いならすことが難しい種族」という図鑑上の記述が関係しています。 図鑑上にある「目が見えない=前が見えない」という記述については、前髪が長いという物理的な理由に加え、恋人の死により「過去の記憶に囚われたまま」という精神的な理由も組み合わせています。 心因的な理由で進化不全を起こしている彼自身の状態は、「年齢的に成熟していても、心は幼いまま」という人物像として表しています。 夢を捨て、愛に心酔し、その身が滅んでしまうほど全てを相手に捧げた生き方も、亡くなった恋人凪(No.700♀)とのタイプ相性が関係しています。 誰にも飼いならすことができない、どこにも所属できない、愛に囚われた孤高のギタリスト。それが「者津八潮」という男になった、そんなお話でした。 インタビューより引用 「俺の歌は特別じゃなくていい。価値なんか付かない、ありふれた何かの一つでいい。もし俺の歌に価値があるとしたら、それはきっと、サポートのみんなと、うららのお陰だと思う。」